「どうせ、この町は。」
地方に蔓延するそんな閉塞感を、アートの力で突き破りたい。
プロジェクト名「OPPES(オッペス)」は、この地域の言葉で「押す」を意味します。
ここは、単なる美術館ではありません。
現代アート界が抱える「作品の廃棄問題」と「東京一極集中」への、実践的なアンチテーゼです。
2020年、ある一つの約束から始まった「倉庫美術館構想」。
行き場を失いかけた魂(作品)を廃校で守り、プロの技術を地元の職人へ継承し、地域の子どもたちに「見たことのない景色」を見せる。
4年間の集大成となる、たった2日間の開館。
アートが地域の背中を「おっぺす(押す)」瞬間を、目撃してください。
芸術祭終了後、保管場所やコストの問題で廃棄されてしまう大型作品やインスタレーション。OPPESはこれらを無償で引き受け、地域での展示権と引き換えに物理的に保護する「シェルター」となります。
アート作品の設置には高度な専門技術が必要です。OPPESでは、プロのインストーラーが地元の工務店・職人へ直接指導を行い、設置技術を地域へ移転(トランスファー)。「アートを扱える職人」を地域に育てています。
ここは静的な収蔵庫ではありません。作品はここで次の出番を待ちながら、地域の子どもたちの教材となり、新たな文脈を纏います。廃校を「生きたバックヤード」として開放し、再び世界へ送り出す循環拠点です。
Origin / Art Director
Naoki Sato
多摩美術大学教授 / アーティスト
OPPESの「原点」。『東京ビエンナーレ』や『アーツ千代田3331』のデザインを手掛けるなど、都市とアートの関係性を問い続けてきた。2020年、自身の300m超の大作『そこで生えている。』をこの廃校に預けたことから構想がスタート。ロゴの筆文字が示す通り、根源的で力強いエネルギー(気)を場に定着させる。
Philosophy / Advisor
Kosuke Tsumura
武蔵野美術大学教授 / ファッションデザイナー
都市型サバイバルウェア「FINAL HOME」で世界的に知られるデザイナー。衣服を「究極の家(シェルター)」と捉えるその哲学は、災害と再生、そして作品を保護する「倉庫美術館」というプロジェクトの精神的支柱となっている。
Local / Director
Toshiki Mizuno
アーティスト (Chim↑Pom from Smappa!Group)
社会課題へのラディカルな介入で知られるアーティスト集団のメンバー。パートナー(久保寛子)の作品保管場所を探す中で東庄町と出会い、隣町(旭市)へ移住。東京のアート文脈とローカルの現場を繋ぐ「結節点」としてプロジェクトを牽引する。
時代を象徴する才能が、廃校に交差する。
ブルーシート、鉄骨、コンクリートブロック。現代社会の「労働」や「災害」、そして「復興」の現場で使われる工業素材を用いて、古代の偶像や神話を想起させる巨大彫刻を出現させる。農業用ハウスや資材が並ぶ東庄町の風景と共振し、土着の守り神のような圧倒的な存在感を放つ。
日本特有の土着信仰や民間伝承と、最先端テクノロジーを融合させる「デジタル・シャーマニズム」を提唱。《未来SUSHI》や《サーバー神輿》など、ユーモアと批評性が入り混じる作品群は、祭りと神事のアップデートを試みる本フェスティバルの文脈と強烈にリンクする。
現代ポップカルチャーの最前線で、アイコンとなるビジュアルを作り続けてきたトップクリエイター。その色彩感覚と造形力が、無機質な廃校の教室をジャックする。ラフォーレ原宿で開催された「PEEP展」のインスタレーションが、東庄町という異質な空間で新たな意味を帯びて再構成される。
90年代以降の音楽・デザインシーンを牽引し、数多のレコードジャケットや広告を手掛けてきたレジェンド。古今のイメージを断片化し、再接続(リミックス)するそのコラージュ作品は、記憶の集積地である「廃校」という場所そのものをメタファーとして浮き彫りにする。
描いては撮影し、また描く。「ドローイング・アニメーション」という手法で、絵画が生成される「時間」そのものを映像化する。今回展示される《小さな青い家》は、止まった時間の中に閉じ込められた廃校の教室で、静かに、しかし確実に流れる時間のレイヤーを鑑賞者に体感させる。
鉛筆、クレヨン、油彩。様々な画材を用い、独特の筆致と余白で「描けないもの」を描き出そうとする現代絵画の異才。不穏さとユーモアが同居するその作品世界は、予定調和な地域アートとは一線を画す、心地よい違和感を空間にもたらす。
OPPESの活動初期から、その「倉庫」機能を物理的・精神的両面で支え続けてきた彫刻家。素材との対話から生まれるその造形物は、この場所が単なる保管場所ではなく、常に創造が行われている「スタジオ」であることを無言のうちに証明している。
OPPESは、地域創生フェスティバル「第1回 フェスティバルトウノショウ」の中核企画です。
アートの後は、祭りの熱気へ。
2025.11.29(Sat) - 30(Sun)
10:00 - 16:00
旧石出小学校(OPPES倉庫美術館)
千葉県香取郡東庄町石出1599
一般 1,000円 / 学生 500円 / 未就学児 無料
※事前予約不要。当日受付にてお支払いください。
下車、徒歩3分。
★駅前より会場・駐車場を巡回する「無料シャトルバス」運行あり(15分間隔)。
※会場周辺は混雑します。必ず以下の駐車場をご利用ください。
※各駐車場から会場へはシャトルバスをご利用ください。